水晶と月の家

これは、世界のてっぺんで起こったできごとのお話。

　輝く星を夜空に灯すのは、小さな天使のお仕事です。今日もあっというまに日が暮れてきたので、小さな天使は雲の上から自分の星をするすると下ろしていました。そのときふと、真下にふしぎな光が灯っているのを見つけました。先輩の星でもないし後輩の星でもない、小さくてあたたかい光です。
「あれはなんだろう。人家の明かりにしては近すぎるなぁ」
　と、小さな天使が首を傾げているうちに、ふしぎな光はぐんぐん近づいてきて、驚いている彼のほっぺたにすばやくキスをしました。
　ふしぎな光の正体は、小さな魔女のランタンでした。
「わ、君かぁ。どうして昇ってこれたの？」
「だって、魔女だもの」
　小さな魔女は誇らしげに胸を張りました。
「ね、下に降りておいでよ。今夜はみんなでハロウィンのお祭りよ！」
　彼女はとっても魅力的なウィンクで友人を誘いました。年に一度だけの特別な夜のお祭りですから、大好きな友人と一緒に行きたいのです。小さな天使が昼間しか下界に降りることを許されないと知っていたけれど……。
「でも、僕、星を灯さなくちゃ」
「そんなのいいのよ、ハロウィンだもの、闇夜がいちばんに決まってるわ！」
　小さな魔女は笑いながら小さな天使の腕を取りました。

　さてさて、小さな友人たちがこのあとどうしたかは、またべつのお話。

……そして、8年後のクリスマスの彼ら（ざっくり楽書き）。
あいかわらずです。